ブリタニアよ、大海原を治めよ@『TRAFALGAR』大劇場新人公演
2010年6月8日 宙組「……ホレイショが、もうすぐトラファルガーから帰ってくるぞ」
手にした十字架を折れるほどに強く握りしめながらも、父は静かに、哀しみを籠めて言う。
静かに。
あ、彼は、知っているんだ。
ホレイショが、トラファルガーから帰ってはこれないことを。
「ファニー、ノーフォークに帰ろう……」
父の身体が、小さく、小さく見える。
帰ってこない息子を故郷で待つという、父の言葉の持つ意味の重さに、胸を塞がれる。
本役のエドマンド@ちやちゃんは、ここではもう惚けてしまって夢と現実の境目が分からない、という役づくりになっています。
息子の死によってそうなってしまったと思わされる芝居は、本公演の泣きどころでもあります。
でも、新公のエドマンド@こおまいは、知っているんです。
ホレイショが、トラファルガーから帰ってはこれないことを。だからこそ、言うんです。
「……ホレイショが、もうすぐトラファルガーから帰ってくるぞ」と。
その諦観と哀しみが、どれだけ深いものであるのか。
それがもう堪らなかった。涙腺が決壊しました。
Rule, Britannia! Britannia, rule the waves……
なぜ、ここでエドマンドがルール・ブリタニアを口ずさむのか、はじめて分かったような気がしました。
愛する息子の死を、受けとめるには辛すぎるその現実を、「お国のため」と自分に言い聞かせようとする、でも言い聞かせることなど到底できない、エドマンドの身を切られるような思いが。
ちやちゃんのエドマンドも、とても哀しいんです。息子の死が、彼をそうさせてしまったのだから。
「ファニー、ノーフォークに帰ろう!」(三点リーダではなく、!)と無邪気に言う笑顔が哀しいんです。ルール・ブリタニアも無邪気に口ずさんでいるように聞こえて、それがせつなくて。言ってみれば、ブリタニアの犠牲になったんだから、息子は。
その無邪気さに泣かされるんですが、それにはちやちゃんの持つ「味」もあるんだと思います。
不倫レストラン(笑)の修羅場の前に、これもまた無邪気に「わしもご挨拶に行きたい!」とはしゃぐちやちゃんも私のツボなんですが(いやまだ惚けてないけど、基本的に無邪気なパパなのね)、こおまいのこの台詞は普通に聞こえたんですね。
こおまいが芝居の巧い人なのは分かっていますが、ああやっぱこーゆーのふつーになっちゃうんだなあ、と。ちやこの「味」ってすげーわ、みたいな。
それが、そのままふつーにおとーさんをやっていたエドマンドが、最後にその正攻法で、一気に場を持っていったのです。
「……ホレイショが、もうすぐトラファルガーから帰ってくるぞ」
書いてる今、もう泣いてるもんな私(笑)。
りくちゃんもあいちゃんもすごいよかったよ。
いっちゃんがハミルトンなのは、正解だったんじゃないかと。主演、2番手とも経験の少ない下級生だと、新公自体が崩れちゃう懸念もあったのですが、蓋を開けてみればハミルトンってカゲの主役みたいなものだもん(笑)。長の、そして巧いいっちゃんが演じることで、芝居全体が締まったと思う。
とにかく贔屓組の新公は楽しいっ!!
また細かく書きたいな、と思っています。
手にした十字架を折れるほどに強く握りしめながらも、父は静かに、哀しみを籠めて言う。
静かに。
あ、彼は、知っているんだ。
ホレイショが、トラファルガーから帰ってはこれないことを。
「ファニー、ノーフォークに帰ろう……」
父の身体が、小さく、小さく見える。
帰ってこない息子を故郷で待つという、父の言葉の持つ意味の重さに、胸を塞がれる。
本役のエドマンド@ちやちゃんは、ここではもう惚けてしまって夢と現実の境目が分からない、という役づくりになっています。
息子の死によってそうなってしまったと思わされる芝居は、本公演の泣きどころでもあります。
でも、新公のエドマンド@こおまいは、知っているんです。
ホレイショが、トラファルガーから帰ってはこれないことを。だからこそ、言うんです。
「……ホレイショが、もうすぐトラファルガーから帰ってくるぞ」と。
その諦観と哀しみが、どれだけ深いものであるのか。
それがもう堪らなかった。涙腺が決壊しました。
Rule, Britannia! Britannia, rule the waves……
なぜ、ここでエドマンドがルール・ブリタニアを口ずさむのか、はじめて分かったような気がしました。
愛する息子の死を、受けとめるには辛すぎるその現実を、「お国のため」と自分に言い聞かせようとする、でも言い聞かせることなど到底できない、エドマンドの身を切られるような思いが。
ちやちゃんのエドマンドも、とても哀しいんです。息子の死が、彼をそうさせてしまったのだから。
「ファニー、ノーフォークに帰ろう!」(三点リーダではなく、!)と無邪気に言う笑顔が哀しいんです。ルール・ブリタニアも無邪気に口ずさんでいるように聞こえて、それがせつなくて。言ってみれば、ブリタニアの犠牲になったんだから、息子は。
その無邪気さに泣かされるんですが、それにはちやちゃんの持つ「味」もあるんだと思います。
不倫レストラン(笑)の修羅場の前に、これもまた無邪気に「わしもご挨拶に行きたい!」とはしゃぐちやちゃんも私のツボなんですが(いやまだ惚けてないけど、基本的に無邪気なパパなのね)、こおまいのこの台詞は普通に聞こえたんですね。
こおまいが芝居の巧い人なのは分かっていますが、ああやっぱこーゆーのふつーになっちゃうんだなあ、と。ちやこの「味」ってすげーわ、みたいな。
それが、そのままふつーにおとーさんをやっていたエドマンドが、最後にその正攻法で、一気に場を持っていったのです。
「……ホレイショが、もうすぐトラファルガーから帰ってくるぞ」
書いてる今、もう泣いてるもんな私(笑)。
りくちゃんもあいちゃんもすごいよかったよ。
いっちゃんがハミルトンなのは、正解だったんじゃないかと。主演、2番手とも経験の少ない下級生だと、新公自体が崩れちゃう懸念もあったのですが、蓋を開けてみればハミルトンってカゲの主役みたいなものだもん(笑)。長の、そして巧いいっちゃんが演じることで、芝居全体が締まったと思う。
とにかく贔屓組の新公は楽しいっ!!
また細かく書きたいな、と思っています。
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