ご無沙汰しております。宙組は博多もバウも集合日過ぎて、皆さん日々頑張っていることと思います。私もなんとか生きてます。ちょこちょこ宝塚も観てますわ。
うん、やっぱ好きだなあと、宝塚。

オーランジュ男爵@蘭とむちゃんって不思議な人で、いや別に蘭とむちゃんが変なんじゃなくてその設定が謎なんだけど、ジャスティン@大和さんの会社の単なる出資者だったはずがいつの間にか経営に参画することを求められ、どさくさに紛れて現場の調査なんか押し付けられ、気がついたら会社そのものを押し付けられてるという(笑)。なぜか素直にジャスティンの思うがままに動いてるんだが、文句のひとつもないのだろうかと?
蘭とむちゃんから、つかオーランジュから見えたのは、ジャスティンへのおおらかな愛。人間がおおらかで、ジャスティンに無条件に熱い友情を感じていて、「こいつのためなら」ってバリバリ動いてくれる頼もしい男。
経営者と出資者の間に熱い友情があること自体が不思議といえば不思議で、だけどそれは大和さんがというより、主に蘭とむちゃんが熱く突っ走ってくれていたからだと思う。

基本的に、オーランジュのキャラはブレなかった。ジャスティンはやけに若々しかったり妙に落ち着いてたり、公演中にいろいろ変わっていったんだけど(笑)、オーランジュは常に……蘭とむちゃんだった(笑)。そう、蘭とむちゃんの芝居の絶妙な「間合い」と全身から発せられる「気合い」で成り立っていた役なんじゃないだろうか。
マトモに考えたら、オーランジュってよく分からない人ではないか。蘭とむちゃんの持ち味で色づけされたオーランジュはとても魅力的な人で、でもそれって蘭とむちゃんだからこそじゃんね、正塚っ(と、また文句を言う)。

ブレはしなかったのだが、あくまでも良い意味で、どんどんグドく粘っこくなっていった(笑)。台詞の言い回しなんて、寧ろコブシ?みたいな。歌舞伎か?みたいな。いわゆる赤面プレイ絶好調で、東宝終盤はすごいことになってた。そして、それが普通のことだと思わせるのは、蘭とむちゃんが蘭とむちゃんだから。(言いきり)(なんだそれ?)
一般的に人間は言葉を発する前に「~~~ンンんああっ」「ゥゥゥむはあああん~~ん」などと溜めたりはしない。言葉尻に「ぐぶはっっ」と変な息を漏らしたりしない。と思うのよ?でもそれらが、ごく普通のことと受けとめられる。だって蘭とむちゃんだもんっ。(言いきり)(なんだそれ?)
あの「社長の椅子」から飛び跳ねるゼンマイ仕掛けみたい動きとか、「めでたい飲みたい」のギコチない(ふりをした)カラクリ人形みたいな動きとか、どうにかしてってほどかわいい。それでいて全体を通して考えればおちゃらけた人には見えないのは私だけだろうか。決めるとこ決めてるから、とにかくかっこいいんだもん。

実は大和さんと演技の質が合っていたわけでもないと思うのだが、二人の息が合っていたんだろう。お互いがお互いを信頼しているのだと、それを思わせてくれた。
異文化に所属するもの同士なのに、いや異文化に所属するもの同士ゆえの、予想を超えた化学反応。そこにはまずお互いへの信頼があってこそだ。
だからジャスティンとオーランジュの関係が、あんなにもステキだったのだ。

最後のオーランジュ、って東宝楽もムラ楽と同じところでオーランジュのアドリブがあった。
まずモニーク@あすちゃんの「頑張って!」に応えて、「君もこれからも頑張って!」と指差し。
ここ、「これからも」なのがすごく嬉しかった。ムラ楽では「君も頑張って!」だけだった。もちろんそれでいいんだけど、あすは今日までも「頑張って」きたのだろう、そして「これからも頑張って」なんだよなあって。
それから公爵夫人@ゆっちゃんへ、夜会でピンクの薔薇一輪を。これ以上ないぐらいに気障な仕草で薔薇を捧げるオーランジュがほんとかっこよくて、貴族の顔を保って平静さを装いながらも、頬を染めて薔薇を受け取る公爵夫人がほんとかわいくて。
ここは中継では映らなかったらしい。つかいろいろ残念な中継で相当笑えたという話はあちこちから聞いたが、これはおそらくやるって分かってただろうに、なんつーことっ?!
このふたつがムラ楽と一緒。そして、もうひとつ。

ジャスティンとの港での別れ。「そろそろ行きます、こうしてるのも何だか」と言うジャスティンに、「それを感傷って言うんだよ」とオーランジュ。
言い当てられたジャスティンが苦笑とともに感傷に浸っているところに、オーランジュが言った。
「……おかげで私も楽しかったよ」

涙腺ブチ切れました。蘭とむちゃん、ありがとう。

この楽の日の感傷は、ジャスティンとしての感傷だけではなく、今まさに別れを告げようとしている宝塚への、仲間たちへの、大和さんの感傷でもあったのだと思う。オーランジュの言葉に、ふっと唇の片端を歪めて微笑んだ大和さんの顔が、どれだけ美しかったことか。
そしてジャスティンは、てゆーより大和さんは「僕も助かりました」とペコリと頭を下げたものだから、客席は笑いに包まれたのだが。
でもほんとうに、ほんとうに、蘭とむちゃんにはたくさん助けてもらったのだと思う。もちろん組の皆が大和さんを助けてくれたはずなのだが、中でもずっと二番手として支えてくれた蘭とむちゃんに対する思いは、格別なものがある。ファンも、おそらく大和さん自身も。
蘭とむちゃんは「こう言うぞ」と決めていたのだろうが、大和さんの返しは完全なアドリブ、その場で出てきた言葉のようだ。

蘭とむちゃんの組替から3年、大和さんのお披露目から2年。一緒にやれた期間は決して長くはなかったけれど。
この二人が大好きだったと、今あらためて思います。

コメント